IDEA

百貨店と家電量販店

Apr 21, 2010

少し前の西武百貨店有楽町店の年内閉店の話の後、
その場所に次は家電量販店が入るのでは?という話もよく聞きました。
hy_01 今までは、「売り場の規模」が近いから、家電量販店が取って代わるのかと
思っていたのですが、 よくよく考えると、
今の家電量販店は昔の百貨店が提供していたサービスを
代替しているのでは?と思うことがあります。
生活に関わるほとんどのカテゴリー商品
(家事・仕事・音楽・映像・コミュニケーション・最近は食も!)
があり、目的買いだけでなく、新しい商品を見て回ることも楽しい。
量販店
hy_02 百貨店
hy_03 良い店では、販売員もお客のわからない情報を的確に教えてくれる。
的確な情報を教えてくれる店員がいるなら、少々高くてもそこで買いたいとも思う。
昔の百貨店の良き時代に、人々がその売り場に求めていたことが、 表面上は全く変われど、
家電量販店が受け持つようになっているのでは?と思います。
その根本は日本の家電商品がライフスタイルの詳細までに対応した
技術促進を続けているから、売り場・商品の楽しさが生み出せているんでしょう。
商品のデザインは、もう少し家庭のインテリアでの収まりを考慮してほしいですが・・・。
hy_04 渋谷にできたヤマダ電機にはバイクと自転車の屋上駐輪場があります。
渋谷は数年前からバイクも自転車も止める場所がほとんどなくなり、ホントに困ってる人は多かったです。
そこをわざわざエレベーターまで作って、屋上に駐輪場を作っている。
このあたりの街の状況の把握の仕方も、流石ですね。
当然近くの百貨店には駐輪場はありません・・・そこの違いですよね・・・。

企画・プロデュースと、カーリング。

Feb 24, 2010

最近、僕らの本を作ろうとしていますので、ついでに頭でっかちな話を(笑)。
僕らは、飲食・物販店の新業態の開発や、商業施設の総合的なプロデュースを行う仕事を
中心に活動しているのですが、 カーリングは同じような構造だなぁと思います。

企画とはプロジェクトのスタート時には最も重要で、 カーリングで言えば、
「どの方向」に、「どの強さ」で、「どんな回転で」 どこに到達させるかを決めること。
これはプロジェクトが、ある企画をベースにスタートしてからでは、
大きな方向修正はできないことも似ています。
そして、企画をスタートした(ストーンを投げた)
後に具体化する仕事をする人が加わってきます。
建築家や、MD(マーチャンダイジング)プランナー、
グラフィックデザイナー、 運営の仕組みづくりをする人、施工者、などなど。

投げられた企画の大きな方向性を、それぞれの技術(ほうき?)で
企画(ストーンの到達目標点)を達成するために尽力する。
それを間違いの無いように声を欠けるのが、
プロジェクトマネージャー(コーチ?)でしょうか。
もっと言うと、カーリングで10エンドを行ってトータルで勝つことは、
プロジェクト単位の成否でなく、経営における成功とも言えるのかな?とか。
下手な図にするとこんなイメージでしょうか(笑)
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実際の仕事の場面では、プロデューサー・企画者の役割を、 力のあるデザイナーや
建築家が兼務することもあるので、 単純にこうではないですが、
大枠のイメージはこのような構造かと思います。

企画・プロデューサーの役目で難しいところは、
投じた企画と到着点に必ずブレが生じるところです。
そこが、プロデュース=わかりにくい仕事(?)
という見方につながる場合がある。 宿命でもありますが。

現実の参加メンバー(クライアントも含む)の力と比して、
強すぎる企画(現実離れ)もうまく行きませんし、 かと言って最初から弱すぎる
(現実的すぎる・結果が容易に予測できる)企画でも、 望んだ結果には到達できない。
今までの経験上ですと、120点を目指して、実際には90点に仕上げられるように
できるプロジェクトがうまく行くと思います。

ただ、プロデューサーやプロジェクトマネージャーは、
参加メンバーには、目標の120点を常に目指させることが必要です。
(100点を目標にすると、70点ぐらいで収まってしまう)
いろいろな条件で、120を目指して、本当に120になってしまうこともあります。
往々にしてその場合は、クライアントの熱意が素晴らしい場合です。
当たり前ですね。
関係ないですが、最後に投げるスキップの目黒さん評価が、
ボクの友人の間では高いです。
あの安定感はいい奥さんになりそうだと(笑)。

寡占化の先に

Dec 24, 2009

今回長いです(笑)。
「伊藤忠がユニーと資本提携」、
「ファミリーマートがampm買収」
などの最近のニュースに限らず、 アパレル・オモチャ業界・子供服業界などなど・・
ほとんどの小売り業界の寡占化は加速する一方ですが、
一体この先に何があるのでしょうか?
生活の中の実感と違って、欧米との比較を数字から見ると、
実は、まだ日本はそれほど寡占化が進んでいません。
英国は2005年で、
食品チェーンストア上位8社による市場占有率は90.0%、
上位4社だけで76.0%だそうです。 t02200132_0460027610318012908 日本は2002年ですが
総合スーパー部門の市場占有率は、
上位8社で65.7%、 上位4社で42.9%だそうです。
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今でもすでに、寡占化がすごく進んでいる実感を持っているのに、
当然ながら更に進むことが予測されます。
そうなった時に、おそらく紋切り型で語られるのが、
「大手流通の進出が商店街を壊滅させてしまった」、
「コンビニが日本人の生活スタイルを寂しいものにしてしまう」
「寡占化する流通企業」=「悪」だという論調が繰り返される。

しかし、その論調にはどこにもブレークスルーがないことに、
そろそろ皆が気付くべきでは?と個人的には思います。
すでにインフラ化してしまっているともいえる大手流通を排除し、
過去に戻ることは現実的に不可能ですし、 商店街を昔の形で蘇らせることも
不可能なことは、誰もが気付いてはいる。

もはや、大手流通のインフラを自明のものとして、 その土台の上で、
生活を充実させたり、地域のコミュニティを 活性化する策を生み出すことが、
リアルに前向きな姿勢なのでは? と思います。

「A-Zスーパーセンター」という鹿児島の24時間スーパーセンターが
あるのですが、 過疎地とも呼べる場所で、周辺住民の生活を
唯一支える店になっていることが、 以前話題になりました。
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公共バスが廃止された路線に済む高齢者の方のために、
片道100円の送迎バスを運行したり、 高齢の方が、
家にいるのは寂しいからと一日中店内にいらしたり。
もしこの店がなければ、一日1人で家にいたかもしれない方達が、
人が大勢いる空間にいられることだけでも、嬉しいと語る。。。

地方では欠かせない車を、可能な限りの合理化で安い中古車として販売したり、
地方でも多い、共働き夫婦のために深夜営業で様々なものが購入できたり、
定年を設けず、60代以上の高齢の従業員がいたりと。。。

本来、行政が取り組むべきことでは?と思えるようなことを、
地方の1スーパーセンターチェーンが行っている。
もう今の財政状況では、行政にはできないでしょうけど・・・。

穿った見方をすれば、一企業の提供するサービスで限定されてしまい、
偏った状況で良くないという人もいるかもしれませんが、
僕はこういった方向性を探ることを受け入れることが、
これからのコミュニティの活性化のブレークスルーの唯一の方法なのでは?
と思うことがあります。

話が長くなりましたが、 「過去を懐かしみ、現状を憂う(うれう)」のではなく、
「善悪を論じてばかりでなく、現状を受け入れて、前向きに活用する」しか、
僕らの生活に何もプラスを生み出さないのでは? と思った昨今でした。

人を見て、人に聞く【その2】

Sep 16, 2009

続きで、、、客観的に街・人を見て調査するのと同時に、 実際の人の声を聞くことも不可欠です。
以前のロイヤルガーデンカフェの開発途中にも、 近隣のオフィスで働いている方々に 何度も
ヒアリングをしたのですが、 伊藤忠本社の方と、日本オラクル本社の方では、
ランチに対する金額意識が全く違って驚きでした。

平均年収は、どちらも同程度の高給取りの方々ですが、 1人1人の個人差はありますが、 伊藤忠の方々は1000円がリミット、 オラクルの方は1400円ぐらいかなぁ~と。
具体的には、オラクルさんは以前の本社の近くには、 高いランチしかなかったということや、 給料・契約形態の違いによる可処分所得の差や、 扶養家族の有無などから、金銭感覚の違い が出てくるんでしょうけど。

やはり、現地を見てるだけでも分からないですし、 人に聞くだけでも分かりませんので、複数の方法で多面的に、 お客様像を捕まえていく必要があります。
当然、自意識の中の生活者意識や、蓄積している情報を掘り下げていって、 アイデアを生み、それを形にして新しい価値を提供しようとする事も大事ですが、 こと街中で、日常生活に深く関わろうとする業態・場を提供するためには、 そのアイデアをコケさせない(笑)ためにも、大事な地道な行動だと思います。
一方で、広域から人を招く業態を目指す場合は、当然、別の手法が必要になります。 (アウトレットモールや、ウェディング施設を作るのに、 すぐ近くの住民ばかり調べても意味ないですし。)
店舗を開発する人達はぜひ行ったほうがいいと思います。

いろいろな職業の方や、美しい女性と出会える機会にもなりますし(笑)

人を見て、人に聞く【その1】

Sep 15, 2009

アークヒルズカフェもそうですが、
僕らは店・商業施設を開発する際に、実際に何度も現場に足を運びます。
平日の朝~夜。休日の朝~夜。街によっては深夜・早朝も。

そこで何を見るかというと、通行量による歩留まりがどうこう?というよりも、
どのような生活意識・価値観(つまりはライフスタイル)を持った人達が、
その土地で活動しているのか?を把握するためです。

例えば、夕方のスーパーの前に立って観察しているだけで、 いろいろなおばちゃん(笑)からでも、 様々な街のライフスタイルの情報が読み取れます。
1人か複数客が多いか、客同士の会話があるかないか、 外出を意識した服装なのか、
家着のようなトレーナーなのか? またそのブランドは? etc . . .
から、 生活意識から街のコミュニティの成熟度までを把握します。
 
「東京の街だったら、だいたい分かるじゃない。」
という方もいますが、 実は全然分かっていないものです。
僕は以前、西麻布の会社に5年勤めていたのに、 あるプロジェクトのために一日中、西麻布の交差点に立っていると、 こんな人達いたっけ? と思うようなタイプの人達と次々と遭遇します。
人は自分が働いている、生活している土地に詳しいと思いがちですが、 活動の範囲・時間帯が、割とパターン化していることが多くて、 見えていない側面が本当に多いのだなぁと。 (早退した帰り道は違う風景に見えるように)
インターネットや、データベースの発達で、 定量的な数値(行政が発表しているようなモノ)は、 比較的手に入りやすい状況になっていますが、 街の情報はやはりその街に自分が立たないと分かりません。

どれだけGoogleのストリートビューが発達しようとも、 流れゆく人々の様子や、競合店の味・雰囲気を把握することはできませんし。 (そのうちできるようになるかも? Google恐るべしですから。)
こんなことならgoogleでも(笑)。

老舗クッキーと、究極のブランディングなど。

Sep 8, 2009

日本を代表する企業と言ってもいいお取引様の方から、美味しい超高級クッキーを頂きました!!
缶はサイズの割に異様に重い。。。 t02200294_0425056710249358005 t02200294_0425056710249357997 t02200294_0425056710249357982 表面からは見えないですが、小さめの缶の中には27種類ものクッキーが。 初めて知ったのですが「村上開新堂」といって、明治7年に創業した老舗のクッキー。 紹介でしか購入できないとのこと。
世の中には、まだまだ知らないものがあるものです。  >MORE
こういった老舗の物や、サービスに触れると、長く認められ続けるモノ・店になるような 究極的なブランディングには、どのような条件が必要なのか? と軽く(笑)考えてみたりします。

1. 常に変わらぬ価値(例えば”おいしさ”)を提供し、
    ユーザーの頭の中で安定したイメージを蓄積させられること。

2. その価値が、多くの人の間で共有できるものであり、
     世代の変遷においても 引き続き伝達・伝承できる価値であること。

この2つを最も体現している究極にブランディングされたモノは? と考えると、
ヴィトンでも、フェラーリでもありませんね。それらは「機能」がありますから。
僕の中では、現在のところ「貨幣」こそが究極のブランディング商品と 言えるのかもしれない思ったりします。 単なる印刷された紙片に、国境・文化を超えることさえ可能にさせる価値を与え続け、 世代が変わろうともその価値は引き継がれる。(まあ、インフレとかはありますが。。) このブランディングには何も勝てませんね。

ポイントカードの脅迫

Aug 3, 2009

「買い物ポイント、1兆円規模に 相互利用拡大」 >MORE
好調ユニクロの昨年度の売上ですら5800億なので、 ものすごい金額がポイントとして企業に貯まってる!!
この貯まっているポイントを、仮に年1%で運用できたら、毎年100億の運用益が得られますね。 (単純にそういう話ではないですが。。。)
ポイント制は、店側がお客さんから無利子で借金できるシステムに近いので、 会計上は、一旦負債として計上されるそうです。 ですから実体としてお客さんにとって得なのかどうか?はかなりの疑問です。 期間が過ぎると失効しますし。 (この仕組みを考え抜こうとすると、寝れなくなりそうです。ポイント戦略恐るべしですね。)
とはいえ、スーパー、CVSからTカードなど、日常生活の中で使用するポイントカードを かなりの企業が採用しており、皆さんも1枚は必ず持っていると思います。
僕もあまり固執してはいないのですが、いくつかのポイントカードをやはり所有しています。
t02200147_0700046810225848954 先週、久しぶりに行った洋服店で買い物をしたときに、 お店のポイントカードを当然のごとく忘れていたのですが、
その時に瞬間的に思ったことは『損した!』でした。
同時に「アレ?」と思ったのですが、ポイントサービスってそもそも、 「得できて嬉しい!」というプラスの感情を得られるものだと、頭では認識していたのに、 「損したくない!!」という強迫観念のような気持ちのほうを、強く持ってしまっている。。。
これだけ社会にこのシステムが普及してしまった現状では、 「ポイントをうまく利用しないと、自分は損を被るのではないか?」という 脅迫観念のパワーが、ユーザーを増やす原動力なのかもしれません。
脅迫観念、もしくは恐怖心をあおる消費というのは、実はかなりの割合を占めています。 わかりやすいところではセキュリティ関係の消費。
実は、凶悪犯罪の件数は(殺人事件は昭和30年をピークにおおよそ減少をつづけてる) 減っているはずなのに、世の中は危険が増しているイメージが浸透している。
エコもある意味、これらと通じたところがあるかもしれませんが・・・。
やはり、現実のビジネスにおいては、 物事の「真理」を追究することよりも、人々の「心理」を読むことが、 成功の近道かもしれませんね!
かなりダジャレっぽいですが(笑)。